2021年のアニメ業界を振り返る

2021年のアニメ業界
2020年は劇場版「鬼滅の刃」無限列車編という、日本の文化史に大きな爪痕を残した巨人の登場がありました。映画オリジナルのストーリーではなくアニメシリーズの単純な続編かつ、コロナ渦の真っ只中に公開されたにもかかわらず、作品は日本の歴代映画最高興行収入を記録しました。

一方、2021年はここまで華々しい記録や記憶を残した作品は現れませんでしたが、興味深い出来事や業界の動きは多々ありました。

2021年の劇場版最大のヒット作品は、「ヱヴァンゲリヲン」シリーズの完結編となる「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 3.0+1.0 Thrice Upon a Time」です。1990年代半ばに作品がスタートし、後世のアニメ業界のみならず若者文化にも大きな影響力を与えることとなった同シリーズの完結編となる今作は、最終的には100億円を超える興行収入を記録。これは、作品が大人向けなこと、上映時間が155分という最近の映画の中では際立って長時間であること、東京の映画館は非常事態宣言下で午後8時までに閉館しなければならないことを考慮すると素晴らしい結果と言えるでしょう。

この映画の成功により、2016年に大ヒットを記録した「シン・ゴジラ」の監督でもある庵野はオタク系監督として確固たる地位を築きました。この映画の公開後、庵野を中心とした複数のドキュメンタリーやトークショー、さらには国立新美術館で彼のキャリアを紹介する展覧会が開催。彼は現在、スーパーヒーロー「ウルトラマン」と「仮面ライダー」のリブート版の制作を進めています。

また「時をかける少女」や「サマーウォーズ」、「未来のミライ」で知られる細田守監督が「美女と野獣」を現代風にアレンジした「竜とそばかすの姫」は、細田監督にとってこれまでの最高興行収入を記録した作品となりました。最終的に同作は、7月に開催された第74回カンヌ国際映画祭に新設された「カンヌ・プルミエール部門」に日本映画として唯一選出されました。

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上述した「エヴァンゲリオン」は、ストリーミング配信によって若者の間でも急速に支持を伸ばしていると言われていますが、こうした動きはストリーミング配信によってアニメが世界中でより身近になっていることを示す良い例となっており、実際に2021年はそうした変化が如実に表れた年でもありました。

例えばNetflixでは現在、「Way of the Househusband」や「High-Rise Invasion」、「Super Crooks 」などのオリジナルコンテンツのライセンスと資金調達を継続し、「Cowboy Bebop 」などのクラシックコンテンツの実写化も制作されています。Disney+も今年、アニメスタジオと組んで「スター・ウォーズ」の世界を舞台にした短編オムニバス「Star Wars: Visions」を発表し、2022年以降もさらに多くのタイトルをライセンスしようと躍起になっています。

2021年のアニメ市場動向
日本動画協会の最新の年次市場レポートによると、2020年ついに、日本におけるアニメの海外市場が国内市場を上回りました。市場全体では2019年から2020年にかけて11年ぶりの小幅な落ち込みとなりましたが、それでも2020年は記録を取り始めて以来業界にとって過去2番目に良い年であったといいます。これはやはり、コロナ渦でストリーミングの需要が大幅に増えたことが原因でしょう。

このように業界は意外にも儲かっているようです。ただ、だからといって業界の問題が消えたわけではありません。アニメーターが低賃金と過酷な労働条件に直面し、その結果アニメーターの定着率が低下し、プロデューサーがイラストレーターをオンラインで募集して穴埋めすることを余儀なくされたという逸話は、今年も多くの現場で交わされた愚痴の一つです。

では、2022年のアニメ業界はどうなっているでしょうか。コロナ渦以前のアニメ業界では、ライブイベントの比重が年々高まっており、日本での感染者がこのまま少ない状態が続けば、そうした動きがまた復活する可能性が高いです。実際、今月末に2年ぶりに開催される大規模なファンイベント「コミケ」はその試金石となるでしょう。また、宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」が公開されるかもしれません。

2022年さらに注目すべき4つのアニメ
東京リベンジャーズ 
「東京リベンジャーズ」は、「鬼滅の刃」と同じく、アニメ化で大きく盛り上がった少年漫画です。20代半ばのダメ男が元カノの命を救うために中学時代にタイムスリップし、不良グループと抗争を繰り広げるというストーリーです。アニメだけでなく、実写映画化もされ、同作はその年のアニメ作品を除く映画で最高の興行収入を記録しました。

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ウマ娘
2018年に初登場したこの作品は、今年、スマートフォンゲームとアニメの新シーズンがリリースされ、全く新しい安定したファンを獲得。また、TikTokで同作のBGMを使ったmemeが量産されるといった動きもあり、爆発的に人気を上げました。

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ソニー・ボーイ
独創的な夏目真吾監督の最新作「ソニー・ボーイ」は、黒い空洞の中に浮かぶ高校で生徒たちが突然超能力を取得、クラスでのヒエラルキーを巡る戦いが勃発し…といったストーリーで物語は展開されていきます。有名なイラストレーターである江口寿史によるキャラクターデザインの影響もあり、多くのファンを獲得しました。

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鬼滅の刃
「鬼滅の刃」は、昨年公開された「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」から続く新シーズンが12月からスタートしています。原作マンガの「遊郭編」編をアニメ化した今シーズンは、東京の歓楽街、吉原を舞台に物語が展開していきます。12月5日に放送された第1話では、深夜放送にもかかわらず視聴率約10%を記録し、その人気の高さを改めて証明しました。

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